Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
大町桂月の『吃る英雄』―病跡学的な随想
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.1260
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102675
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明治から大正にかけて活躍した随筆家・評論家の大町桂月(1869~1925)が1913(大正2)年に発表した『吃る英雄』(『桂月全集第4巻』,日本図書センター)は,幼いころから吃音に悩んでいた桂月が,自分と同じ障害のある著名人を列挙した随想である.
この随想の冒頭は,桂月が吃音ゆえに買い物をする際に値切ることができないというエピソードで始まる.「少時より口吃るをもって,物を買うに,値切るなどは面倒千万なり.故に今日まで,一切値切りたることなきなり」.
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