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Q1 「包括的呼吸リハビリテーション」とは何か?
呼吸リハビリテーションとは,「呼吸器の病気によって生じた障害をもつ患者に対して,可能な限り機能を回復,維持させ,これにより,患者自身が自立できることを継続的に支援していくための医療である」と定義されている1).呼吸リハビリテーションの要素として,理学・運動療法,患者教育・日常生活指導,薬物療法・酸素療法,栄養管理・指導,作業療法,環境調整,カウンセリング(精神・心理的サポート),などがある(図1)2).すなわち,呼吸リハビリテーションは運動療法だけで成り立つのではなく,きちんとした薬物療法・食事療法・患者教育・カウンセリングなどをセットにした「包括的呼吸リハビリテーション」として行われることでその威力が倍増する.
例えば,長時間作用型の気管支拡張剤の出現により,1秒量の改善が可能な障害者が現れ,運動時の息切れの改善がもたらされることや,運動療法と気管支拡張剤の併用による運動耐容能改善に対しての相加作用も報告されている.また,運動療法だけでは禁煙効果はほとんどないため,教育が必要である.教育は呼吸リハビリテーションの必須要素とすべきであり,教育内容には自己管理や病状悪化の予防と治療に関する情報を含めるべきであると指摘されている3).さらに,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)患者は,食事の際の息切れなどによる食欲減退,低酸素状態による栄養吸収障害,呼吸に使用するエネルギー消費量の増加,基礎代謝量の亢進などによる栄養障害を伴うことが多いため,食事療法も呼吸リハビリテーションの重要な因子となっている.また,運動時の息切れなどによりうつ状態になるため,心理的ケアが必要となることが少なくない.このように,呼吸リハビリテーションでは運動療法のみならず,多要素的に包括的リハビリテーションとして行われる必要がある4).
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