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はじめに
本邦における心大血管疾患リハビリテーション料の診療報酬の歴史は,30年以上前に遡る.1982年に厚生省(当時)戸嶋班により「急性心筋梗塞リハビリテーション4週間プログラム」が発表されたのを契機に,その数年後の1988年に「急性心筋梗塞の心疾患理学療法料」が3か月間に限って設定された.1996年に厚生省(当時)齋藤班により「急性心筋梗塞リハビリテーション3週間プログラム」が発表され,同年狭心症,開心術後が「心疾患リハビリテーション料」の対象疾患として保険適用追加される.その後,慢性心不全,閉塞性動脈硬化症,大血管疾患が「心大血管疾患リハビリテーション料」の診療報酬の対象疾患として追加されてきた1).
これらの心大血管疾患リハビリテーションプログラムには,必ずその根拠となるエビデンスが存在する.これらエビデンスは,諸先輩方の絶え間ない研究努力の上に成り立っており,その結果として,前述したような診療報酬の算定に大きく反映されている.しかしながら,エビデンスの多くは,欧米での報告が中心的であり,本邦の人種,環境,機構などの特性を踏まえたエビデンス構築が望まれている.
表1に厚生労働省が示した「平成30年度診療報酬点数 医科/第2章 特掲診療料/第7部リハビリテーション/第1節 リハビリテーション料/H000 心大血管疾患リハビリテーション料」2)から一部抜粋したものを掲載した.その内容と現在ガイドラインに示されているエビデンスを照らし合わせて,心血管疾患リハビリテーションを改めて考えてみたい.
ここで重要な点として,①に「心肺機能の評価による適切な運動処方に基づき」と示されていることが挙げられる.つまり,適切な運動処方により,心血管疾患リハビリテーションの効果が期待できることを意味する.また,②に示されている疾患に対しては,心血管疾患リハビリテーションのエビデンスがあり,効果が期待できることを示していることが挙げられている.そこで本稿においては,上記に示された診療報酬と現在のエビデンスについて,まとめてみることとする.なお,診療報酬点数上では「心大血管疾患リハビリテーション」と表記されているが,本稿は大血管疾患の説明が少ないことと,臨床上「心血管疾患」を使用することが多いため,本稿においては,「心血管疾患リハビリテーション」の表記に統一させていただいた.
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