Japanese
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実践講座 福祉的就労の実際・第3回
高次脳機能障害者の福祉的就労
Welfare-based employment for persons with higher brain dysfunction.
田谷 勝夫
1
Katsuo Taya
1
1障害者職業総合センター
1National Institute of Vocational Rehabilitation(NIVR)
キーワード:
高次脳機能障害
,
就労実態
,
多様な働き方
,
福祉的就労
Keyword:
高次脳機能障害
,
就労実態
,
多様な働き方
,
福祉的就労
pp.1067-1073
発行日 2011年11月10日
Published Date 2011/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102268
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はじめに(高次脳機能障害者支援の展開)
2001年に開始された国の高次脳機能障害支援モデル事業は,それまでの高次脳機能障害の概念とは別に,認知障害だけでなく,行動や社会的相互作用を含む能動的な機能の障害に注目し,身体機能障害がなく,高次脳機能障害のみを有する障害者(手帳の谷間,狭間の障害者)に焦点を絞り,その「診断基準」,「標準的訓練プログラム」,「標準的社会復帰・生活・介護支援プログラム」の開発に取り組んだのが特徴的である1).2006年には,この成果を高次脳機能障害支援普及事業として全国普及の取り組みが開始され,2010年に全国展開となった.
この間,職業リハビリテーション領域における高次脳機能障害者に対する雇用対策の展開は,1990年代半ばに障害特性と就労問題に関する研究に着手し,1999年に障害者職業総合センターにおいて職場復帰支援プログラムが開発された.2000年代には高次脳機能障害者の職業的な問題の評価・訓練ツールである「トータルパッケージ」の研究・開発が開始されるとともに,広域障害者職業センターにおける職業訓練の実施,地域障害者職業センターにおけるジョブコーチ支援などが開始され,職業リハビリテーション領域における高次脳機能障害者の雇用支援は着実に進展してきた.一方,制度面においても,2001年の自賠責保険における認定の見直し,2003年の労災認定の見直しや,2006年のジョブコーチ助成金制度の創設,および精神障害者保健福祉手帳所持者の雇用率カウントなど,高次脳機能障害者に対する雇用対策が整備されてきている(図1).
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