Japanese
English
特集 物理療法のエビデンスとトピックス
痙縮に対する振動刺激
Vibratory stimulation in the treatment of spasticity.
野間 知一
1
,
川平 和美
2
Tomokazu Noma
1
,
Kazumi Kawahira
2
1鹿児島大学医学部・歯学部病院附属病院霧島リハビリテーションセンター
2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科運動機能修復学講座リハビリテーション医学
1Department of Rehabilitation, Kirishima Rehabilitation Center of Kagoshima University Hospital
2Department of Rehabilitation and Physical Medicine, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University
キーワード:
振動刺激
,
痙縮
,
脳卒中
Keyword:
振動刺激
,
痙縮
,
脳卒中
pp.332-337
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102031
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はじめに
温熱療法1,2),電気刺激療法3)などの物理療法が,神経機能に変化を与え痙縮を改善することが電気生理学的手法を用いて明らかにされている.一方で物理療法は,臨床効果の検証が不十分なまま除痛目的などに漫然と用いられてきたとの指摘もあり4),とくに痙縮や麻痺といった機能障害を改善する面では有効性が実証されていないことが多い.さらに,治療者が効果を実感することも少なかったため,積極的な利用は進んでいない.しかしわれわれは,神経機能に変化を与える物理療法はリハビリテーションを促進するために有用と考えている.また,より長期的な効果を期待するには,物理療法単独の使用ではなく,運動や他の有効な治療を併用することによって神経路や筋の機能的変化を促進することが重要であると考えている.
筆者らは,既存の簡便な振動刺激を用いた新たな痙縮抑制法(direct application of vibratory stimuli;DAVS)を考案し報告している5-9).DAVSは痛みを伴うような侵襲性がほとんどないことや麻痺側上肢への明確な効果が確認されていることから,今後のリハビリテーション医療における痙縮治療の重要な選択肢になると考えている.本稿では,振動刺激の生理学的効果,従来の臨床応用,そしてDAVSについて述べる.
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