Japanese
English
特集 最近の脳卒中リハビリテーション技術
痙縮に対する治療法
The management of spasticity.
松元 秀次
1,2
,
下堂 薗恵
1,2
,
野間 知一
1,2
,
川平 和美
1,2
Shuji Matsumoto
1,2
,
Megumi Shimodozono
1,2
,
Tomokazu Noma
1,2
,
Kazumi Kawahira
1,2
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科運動機能修復学講座機能再建医学(リハビリテーション科)
2鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンター
1Department of Rehabilitation and Physical Medicine, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University
2Kagoshima University Hospital, Kirishima Rehabilitation Center
キーワード:
痙縮
,
脳卒中
,
痙性筋持続伸張法
,
振動刺激
,
促通療法(川平法)
,
温熱療法
,
装具療法
Keyword:
痙縮
,
脳卒中
,
痙性筋持続伸張法
,
振動刺激
,
促通療法(川平法)
,
温熱療法
,
装具療法
pp.1441-1448
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101134
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はじめに
本邦は世界有数の脳卒中多発国であるが,医療技術の進歩により脳卒中の死亡率は減少したものの,現在でも発症率は増加傾向にある.脳卒中は発作を繰り返すことによって,運動能力の低下,日常生活動作の低下,嚥下障害,脳血管性認知症をきたす.また,65歳以上の寝たきり例の原因疾患として,脳卒中は38%と最も多く,次が骨関節疾患である.今後,人口構造の高齢化の進行とともに,脳卒中片麻痺を合併する患者を診療する機会はますます多くなるものと考えられるが,痙縮によるリハビリテーションや日常生活への悪影響の軽減を図ることは,リハビリテーションが直面する重要な課題の一つと言える.
痙縮は,相動性筋伸張反射の病的亢進と定義されている(表1)1).つまりα運動ニューロンの脱抑制であり,γ系の亢進,Ⅰaへのシナプス前抑制,網様体脊髄路あるいは前庭脊髄路の障害などの関与が考えられている2,3).
痙縮は,中枢性と末梢性の両者の要因が関与しており,姿勢,運動時の変化だけでなく,感覚刺激により病的運動が起こる.慢性期になり,筋や腱の結合組織の短縮や筋線維の減少により構造的変化が生じると,複雑な運動を呈し,リハビリテーションの阻害因子となり,歩行などの日常生活活動における妨げとなる.さらには,肩などに疼痛を招き,鷲爪趾(claw toe)に代表される関節の変形・拘縮につながりうる.
しかしながら,「脳卒中治療ガイドライン2004」4)で指摘のごとく,“痙縮に対するリハビリテーション”の観点からは,評価法,治療法ともに,未だ科学的根拠の不十分なものも多い.従来の治療法の見直しや新しい治療法の開発が期待されている.
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