Japanese
English
症例報告
振動刺激が強制把握と緊張性足底反射へ効果を示した脳卒中の2症例
The effect of vibratory stimulation on forced grasping and a tonic plantar reflex in two patients with stroke.
野間 知一
1
,
鎌田 克也
1
,
海 唯子
1
,
伊東 加奈子
1
,
下堂薗 恵
2
,
松元 秀次
2
,
衛藤 誠二
2
,
川平 和美
2
Tomokazu Noma
1
,
Katsuya Kamada
1
,
Yuiko Kai
1
,
Kanako Itou
1
,
Megumi Simodouzono
2
,
Shuji Matsumoto
2
,
Seiji Etou
2
,
Kazumi Kawahira
2
1鹿児島大学霧島リハビリテーションセンター
2鹿児島大学大学院運動機能修復学講座機能再建医学
1Kirishima Rehabilitation Center, Faculty of Medicine, Kagoshima University
2Department of Rehabilitation and Physical Medicine, Faculty of Medicine, Kagoshima University
キーワード:
強制把握
,
緊張性足底反射
,
把握反射
,
振動刺激
,
脳卒中
Keyword:
強制把握
,
緊張性足底反射
,
把握反射
,
振動刺激
,
脳卒中
pp.605-609
発行日 2007年6月10日
Published Date 2007/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100969
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はじめに
強制把握とは,触覚性刺激により把握反射が誘発され,手掌面にあるものを指がきつく握り,離すことを意図しても,多くの場合,困難となる現象である.責任病巣は上前頭回後部(6野),前頭葉内側面(8野,32野,24野)などとされている1-3).同様の現象は足底にもみられ,緊張性足底反射と呼ばれる4).強制把握の存在は物の操作を妨げるだけでなく,移乗時にベッド柵をつかんで離せないなど,日常生活においても大きな障害となる.また,緊張性足底反射についての詳細な報告はないが,立位,歩行時に足底への刺激により足趾の握りこみが出現し,さらに屈筋群の痙縮を助長するため,歩行を妨げる要因になる.いずれに関しても,有効な治療法はこれまで報告されていない.
今回,われわれは,強制把握,緊張性足底反射を呈した2症例において,振動刺激が強制把握を効果的に抑制し,強制把握が抑制されている間に随意運動を反復することで強制把握の改善につながり,上肢操作能力が向上するという結果を得たので報告する.
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