Japanese
English
症例報告
左後頸部への振動刺激が左半側空間無視の改善に有効であった脳卒中片麻痺患者の1例
Vibratory stimulation to left back neck muscles improved left unilateral hemineglect in a patient with stroke.
鎌田 克也
1
,
浜田 博文
2
,
川平 和美
3
,
下堂薗 恵
3
,
野間 知一
1
,
海 唯子
1
Katsuya Kamada
1
,
Hirofumi Hamada
2
,
Kazumi Kawahira
3
,
Megumi Simodozono
3
,
Tomokazu Noma
1
,
Yuiko Kai
1
1鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンター
2鹿児島大学医学部保健学科作業療法学専攻
3鹿児島大学医学部リハビリテーション科
1Kirishima Rehabilitation Center, Faculty of Medicine, Kagoshima University
2Department of Occupational Therapy, School of Health Science, Faculty of Medicine, Kagoshima University
3Department of Rehabilitation and Physical Medicine, Faculty of Medicine, Kagoshima University
キーワード:
脳卒中
,
左半側空間無視
,
振動刺激
,
BIT
,
Weinstraub test
Keyword:
脳卒中
,
左半側空間無視
,
振動刺激
,
BIT
,
Weinstraub test
pp.75-78
発行日 2008年1月10日
Published Date 2008/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101162
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はじめに
半側空間無視(unilateral spatial neglect;USN)は病巣の反対側空間を見落とす現象で,リハビリテーションをすすめるうえで大きな阻害因子となる1).
これまで,USNに対して多くの治療法が提案されている2-11).とくに視覚情報処理操作を用いた報告2-6)は多く,構成課題などを中心とする作業療法2)やプリズム眼鏡の利用3)などが報告されている.一方,体性感覚をUSNの治療に用いた報告もみられ,Wiartら7)は視覚走査と体幹の回旋を利用し,渕ら8)は体性感覚情報のコントロールによって認知や姿勢運動パターンの改善が得られたことを報告している.一方,網本9)は低周波刺激を用いて,注意の全般的機能や選択性に改善がみられたとしている.またKarnathら10)は,暗室で左後頸部に振動刺激を与え,目前の指標が最大に偏倚する(運動錯覚)部位を特定し,そこに20分程度の振動刺激を与えることでUSNの左側への注意機能の改善が得られたと報告しており,視覚以外の感覚系を用いた治療法が注目されている.なかでも頸部への振動刺激は効果の持続もみられ,体性感覚の利用は今後USNの有効な治療法となる可能性がある.
今回,われわれは短時間の頸部への振動刺激をUSNの治療に用い,その効果をWeinstraub test11)と行動性無視検査12)(Behavioral Inattention test;BIT)を用いて検討し,有用と思われたので報告する.
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