連載 開拓保健婦に看護のルーツを探る・4
移動保健所をほうふつさせる検診
小島 ユキエ
pp.388-389
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207162
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開拓者のPHCに努力した保健所長
日本医大の乗木秀夫教授のご厚意で,本別保健所は医師不在保健所の多い北海道で熊谷保健所長・森予防課長の両医師をお迎えできたことは,開拓者にとっても保健婦にとっても幸運でした.
乳幼児から学童,全住民対象の各集団検診は実質において総合的な保健対策そのもので,移動保健所をほうふつさせるものでした.へき地巡回診療も行いますので与薬もあります.管内が広いので1回の検診は5〜6地域を対象にしますから,現地で2〜3泊は普通です.一般検診が終わり,精密検診該当者がわかるまでの待ち時間は健康教育にあてるなど網羅的に行います.したがって医師,保健婦のほかに薬剤師,X線・衛生検査技師,栄養士も同行しました.現地で町役場の衛生係長や町及び開拓保健婦が合流し,全員で会場設営から自家発電(当時へき地では電力事情が極端に悪いので保健所は発電機を持参し,男性2人がかりの作業でした)まで事前の協同作業が先行します.検診場面でも運転手が受付けやX線フイルムの現像にも協力しました.
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