Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
司馬遼太郎の『馬上少年過ぐ』―障害児としての伊達政宗
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.1202
発行日 2010年12月10日
Published Date 2010/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101920
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1968年に発表された司馬遼太郎の『馬上少年過ぐ』(新潮社)は,伊達政宗の生い立ちを描いた小編であるが,そこには疱瘡によって片目を失った政宗に対する乳母喜多のすぐれた対応が描かれている.
幼児期に疱瘡をわずらった政宗は容貌が一変した.「顔中,目鼻もさだかでないほどに痘痕が残ったばかりか,片目がつぶれた.眼窩がくぼみ,眼球のしぼんだあとから赤い肉が盛りあがっていよいよ醜怪な容貌になった」.政宗のことは,生母の於義ですら疎んじるようになり,利発で眉目秀麗な弟の竺丸のほうを可愛がったという.
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