Japanese
English
特集 関節リウマチの治療―薬物療法を中心に
薬物療法の変遷
Change of drug therapies for rheumatoid arthritis.
三森 経世
1
Tsuneyo Mimori
1
1京都大学大学院医学研究科臨床免疫学
1Department of Rheumatology and Clinical Immunology, Kyoto University Graduate School of Medicine
キーワード:
抗リウマチ薬
,
メトトレキサート(MTX)
,
生物学的製剤
Keyword:
抗リウマチ薬
,
メトトレキサート(MTX)
,
生物学的製剤
pp.221-225
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101720
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はじめに
関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)は,滑膜関節の慢性,持続性,骨破壊性の多発関節炎を特徴とする全身性炎症疾患であり,全身症状やさまざまな臓器病変(関節外症状)の合併を認め,リウマトイド因子など,種々の自己免疫異常を認める全身性自己免疫疾患である.わが国の患者数は約70万人(有病率0.6%)と推定され,男女比は1:3~4と女性に多く,30~50歳代に好発する.
RA治療の目標は,疾病により生じる疼痛の軽減,身体機能を維持して非可逆的変化の出現を防止し,患者の身体的,精神的,社会的な生活の質(quality of life;QOL)の向上を図ることにある.さらに近年は強力な抗リウマチ薬の出現に伴い,「RAを寛解に導き(臨床的寛解),関節破壊の進行を阻止する(画像的寛解)」ことが治療目標として明確に打ちだされた.
近年の治療薬開発の進歩により,RAの治療戦略は劇的に変化している.従来のじっくりと構える待機的な治療戦略から,現在ではRAを早期に診断して早期から強力な薬物治療を導入し,低活動性または寛解達成という目標(treat-to-target)を設定して厳格な治療(tight control)を行い,骨関節破壊進行を最小限に抑制するという戦略に変わりつつある.
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