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はじめに
関節リウマチの薬物療法において医師が最初に選択しなければならない薬剤が,抗リウマチ薬である.リウマチ友の会の「2015年リウマチ白書」によると,6,696名のリウマチ患者のなかで抗リウマチ薬を内服している方は84.4%にのぼっている(図1).次回に述べる生物学的製剤も抗リウマチ薬の治療反応性によって使用の要否が判断されるため,実臨床において抗リウマチ薬を使用したことのない患者はごく少数であろう.
しかし,ここで使用している「抗リウマチ薬」は何を指すのだろうか? 広い意味では生物学的製剤も抗リウマチ薬に含まれるため,ここでは合成抗リウマチ薬〔synthetic disease-modifying antirheumatic drug(sDMARD)〕のことを「抗リウマチ薬」と考え,話を進めたい.「合成」という言葉は工業的に化学合成できるということなので,いわゆる「普通の」製造方法で作られる薬剤と考えればよい.
次に,どんな薬剤を取り上げるかである.現在までにさまざまな作用機序の抗リウマチ薬が開発されているが,地域によってその推奨は異なっている.例えばヨーロッパではトファシチニブが保険適用になっておらず,ヨーロッパリウマチ学会の推奨には含まれていない.一方で,アメリカリウマチ学会においてはほかの国では含まれていないミノサイクリンが治療薬に含まれるなど,状況はさまざまである.日本においてもこれは同様で,自国で開発された薬剤であるイグラチモド,タクロリムスは日本では保険適用となっているが,ハイドロキシクロロキンは関節リウマチに対しての保険適用をもたない.以上のことを勘案し,本稿では日本でよく使用される抗リウマチ薬に絞り込んで説明を行っていきたい.
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