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はじめに
本誌では,1989年,1995年,1997年,2004年に関節リウマチについて特集した.この間,1997年にはリハビリテーション科とともにリウマチ科が標榜科として認められ,2004年の特集号からは「慢性関節リウマチ」の病名が「関節リウマチ」に表示が変わった.病名表示の変更は,2002年4月の第46回日本リウマチ学会総会で呼称変更が決定されたことによる.一般医療の病名として関節リウマチの呼称が用いられることになったのは,2005年の社会保障審議会の答申を経て総務省告示により,疾病,傷害および死因分類が慢性関節リウマチから関節リウマチに改正されたためである.
厚生労働省は2009年,日本リウマチ学会の要望により,薬事法上の承認に係る医薬品の効能又は効果,添付文書等における記載などに関して「関節リウマチ」の呼称を使用するよう各自治体に通達を出している.
Rheumatoid arthritis(RA)の日本語病名は,1957年の国際リウマチ学会の決議に基づき,日本リウマチ学会リウマチ病命名に関する委員会での検討後,1962年の第6回日本リウマチ学会総会で「慢性関節リウマチ」となった.その後,長くこの病名が使われていたが,1999年のリウマチ学用語に関するリウマチ学会評議員に対するアンケート調査で,以下の理由で和語変更の要望が多く寄せられた1).
①病態解明が進み,それに伴う治療体系が変化し,早期発見,早期治療が重要視される今日,「慢性関節リウマチ」という用語は適当ではない.
②RA患者はすべてが「慢性」の経過を辿るとは言えない.RAの「慢性」といった言葉は患者に与える精神的ダメージがあまりにも大きすぎる.
③療養指導や治療を受ける側の心理をも考慮に入れると発病初期より「慢性」の病名は避けたい.
「治らない」というイメージをもつ「慢性」が外れたことは,患者のみでなく治療者にとっても希望につながる喜ばしい出来事であった.
リウマチ科の標榜と病名表示の変更に呼応するように,最近10年のリウマチ学の進歩は目覚ましいものがある.その要因は免疫学,特にサイトカイン研究の進歩,遺伝子工学による新たな創薬技術の開発,EBM(evidence based medicine)研究の定着,多施設大規模比較試験による介入研究の整備,情報革命による研究・診療情報の透明化と迅速な共有化,などである.
筆者は2007年の本誌増大号「リハビリテーション医学2007―最近10年の動向とエビデンス」のなかで,RAのリハビリテーション治療の進歩について解説した2).本特集は薬物療法を中心としたRA治療に関するものであるが,個々の治療法についてはリウマチ学のエキスパートによる詳しい解説が用意されているので,本稿では診療ガイドラインに基づくリウマチ治療や,生物学的製剤による,革命的な新しい治療体系におけるリハビリテーション治療の課題,将来像について述べる.
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