Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
芥川龍之介の精神障害擁護論―松井好夫の「芥川龍之介のこと」より
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.780
発行日 2009年8月10日
Published Date 2009/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101579
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昭和31年2月の日本医事新報・第1660号に掲載された松井好夫の「芥川龍之介のこと」には,芥川が自殺する直前に新潟高等学校を訪れた時の様子が描かれている.
松井がまだ医科の学生だった昭和2年5月24日のことである.「ポオの一面」という講演をするために新潟高校を訪れていた芥川は,この夜,『芸術時代』という文芸雑誌が主催する座談会に出席した.その時の芥川の印象を,松井は「あの色蒼ざめた顔貌は未だに忘れられない」と語るのだが,座談会の席で芥川が語ったという言葉を,松井は次のように伝えている.「モオパッサンは立派な麻痺性痴呆だったそうですね」,「ニイチェも精神病でしたね」,「そうすると精神病など予防どころか大いに養成すべきですね」.
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