腰部脊柱管狭窄症

Lumbar spinal canal stenosis.

概　念

　Verbiest^1）は，広義の椎弓（椎弓板，関節突起，および椎弓根）の発育異常による骨性脊柱管前後径の減少した状態を，特発性発育性狭窄と定義した．その後，種々の後天性疾患による脊柱管狭窄の存在が認識され，広義に解釈されるようになった．Arnoldiら^2）は，腰部脊柱管狭窄とは，種々な型の脊柱管，神経根管，あるいは椎間孔の狭小化であり，骨性または靱帯性要因により，骨性脊柱管，硬膜管，あるいは両者の狭小化が生じた状態であるとした．しかし，脊柱管がいかに狭小化していても，入れ物である神経組織も小さく，空間的余裕度が存在していれば症状は起きない．そこで菊地ら^3）は，圧迫される神経組織と，神経組織を圧迫する周囲組織の解剖学的特徴は神経症状の発生に深く関与しているが，最も重要なのはこれら両者の相互関係であることを明らかにした．