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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.14
T細胞の自己認識の生理的意義とその理解
T cell self-recognition:physiological significance and understanding
木村 元子
1
Motoko Y. KIMURA
1
1千葉大学大学院医学研究院実験免疫学
キーワード:
自己認識
,
自然免疫型T細胞
,
Neonatal T細胞
,
組織恒常性
Keyword:
自己認識
,
自然免疫型T細胞
,
Neonatal T細胞
,
組織恒常性
pp.295-298
発行日 2024年10月26日
Published Date 2024/10/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291040295
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SUMMARY
T細胞サブセットには,病原体に対する獲得免疫応答を担うコンベンショナルなCD4+T細胞やCD8+T細胞と,免疫系を制御する働きをするアンコンベンショナルT細胞が存在する.末梢を循環するコンベンショナルなナイーブCD4+T細胞やCD8+T細胞は,二次リンパ器官において自己抗原からのシグナルを受け取ることで生存・維持され,生体内における多様なT細胞受容体(TCR)レパトアが維持される.一方,制御性T細胞や多くの自然免疫型T細胞を含むアンコンベンショナルT細胞は,一般的には自己抗原を強く認識するアゴニスト選択を通して分化成熟し,末梢組織へと遊走・維持され,組織の恒常性維持機能を発揮すると考えられる.しかし,これらのアンコンベンショナルT細胞が,自己抗原として何を認識しているのか,機能発揮に自己抗原認識が必要なのかなど,未解明な課題が山積みである.アンコンベンショナルT細胞の認識自己抗原としては,共生細菌などの “疑似的な自己抗原” が含まれることも明らかとなってきている.その生物学的な意義の解明は重要な課題であり,近年精力的な研究が進められている.
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