Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「㊙ 色情めす市場」―釜ケ崎と知的障害青年の性が同時発火する奇跡
二通 諭
1
1石狩市立花川南中学校
pp.303
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101213
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日活ロマンポルノが幕を閉じて20年近くになるが,評価の高い作品は現在でも時折上映される.そのなかで屈指のものといえば,大阪は釜ケ崎(あいりん地区)を舞台にした「㊙ 色情めす市場」(74年,監督/田中登)だ.ひどいタイトルだが,内容に関係なくポルノのキーワードを並べるとこうなるのだ.もともと「受胎告知」というダ・ヴィンチの絵画に倣ったアートなタイトルを付けており,ヨーロッパではこのタイトルで上映されている.
花柳幻舟が出ているというのがまず凄い.それだけで独特の臭気が立ちこめる.この役者は80年に家元制度打倒闘争にひとり包丁を持って決起し,90年には天皇のパレードに爆竹を投げつけている.きわめて実存的と言えばいいだろうか.本作では売春で身を立てる母親よねの役だ.よねには二人の子どもがいて,姉のトメ(芹明香)は母と同じく売春で金を稼ぎ,弟の実夫(夢村四郎)は在宅の知的障害者である.
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