Japanese
English
短報
発症後1年以上経過した左半側空間無視の病巣
CT Localization of Lesions in Patients with Left Hemispatial Neglect beyond a Year from Onset.
平林 一
1
,
坂爪 一幸
1
,
平林 順子
2
,
遠藤 邦彦
2
,
宮坂 元麿
3
Hajime Hirabayashi
1
,
Kazuyuki Sakatsume
1
,
Junko Hirabayashi
2
,
Kunihiko Endo
2
,
Motomaro Miyasaka
3
1リハビリテーションセンター鹿教湯病院臨床心理科
2リハビリテーションセンター鹿教湯病院言語療法科
3リハビリテーションセンター鹿教湯病院神経内科
1Department of Clinical Psychology, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
2Department of Speech Therapy, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
3Department of Neurology, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
キーワード:
左半側空間無視
,
病巣部位
,
慢性期
Keyword:
左半側空間無視
,
病巣部位
,
慢性期
pp.1081-1086
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107213
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はじめに
左半側空間無視の責任病巣については,従来より右の下頭頂小葉(角回,縁上回)を重視する見解が最も一般的であるが1-3),1972年にHeilmanら4)が右前頭葉損傷による左半側空間無幌を報告して以来,頭頂葉以外の病巣による左半側空間無視を記載した論文も現在までにかなりの数にのぼっている(前頭葉2-9),後頭葉2-3,10-17),基底核2-3,5,11,16-20),視床2-3,21-33),前脈絡叢動脈領域9,34-41),島42)).
一方,このような左半側空間無視を起こしうる病巣とは別に,左半側空間無視が出現するだけでなく,それが長期間持続し,固定した障害を残すと考えられる病巣を明らかにすることも,リハビリテーション上の予後を推定するうえで重要と考えられる.この点を検討するために,今回われわれは発症後1年以上を経過している左半側空間無視の症例をretrospectiveに集め,CT所見により病型分類し病巣を調べた.この1年という基準は,症状が十分に安定し,その病巣が固定した障害を反映しているとみなしうる時期を発症後1年以上においたKerteszの研究43)を参考にしている.さらにわれわれの調べた範囲では,発症後1年以上を経過しているような慢性期の左半側空間無視の病巣を調べた研究はなく,この点も今回の調査を行う動機となった.
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