Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
関節リウマチ(以下,RA)は自己免疫疾患であるが,その原因は特定には至っていない.増悪緩解の経過を繰り返しながら進行する慢性進行性疾患である.
慢性滑膜炎に伴う破壊性非化膿性関節炎を主病態とし,関節の破壊,変形,疼痛によりADL(activities of daily living)が著しく障害される.障害が上肢に認められると,食事,更衣,整容,トイレ動作,入浴などADLの大部分,さらには料理,掃除,洗濯などのIADL(instrumental activities of daily living)も制限されることとなる.RAは,とくに働き盛りの中高年女性,つまり家庭内でのIADL担当者に多く発症するため,障害が重度になると患者個人のみならず家庭の機能が障害される.家庭内のみならず,その社会的損失は計り知れない.その危機を回避するためには,疾患の管理を十分に行うことが重要である.
有効なRAの治療・管理のためにはリハビリテーション医療,内科治療,外科治療が三位一体で行われる.患者の状態を正確に評価し,それに応じた治療を選択する.近年は種々の治療の進歩によって,従来のような重度の関節変形を呈する症例や寝たきりのRA患者は新規に発症しなくなった.それでも未だに多くの患者が苦しんでいるのも実情である.RAはわれわれリハビリテーション科医が,日常の診療業務で扱うことの比較的多い疾患である.根本的治療法のないRAにおいては,QOL(quality of life)向上といった観点からも,リハビリテーション科医は重要な役割を担っている1).
本稿では,RAのリハビリテーションアプローチ,とくに上肢の機能障害へのアプローチについて述べる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.