Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
地域リハビリテーション(支援センター)/地域連携クリティカルパスの「最近10年間の動向とエビデンス」を考えるにあたり,わが国の医療・福祉政策のこれまでの動向を把握しておく必要がある.
急速な少子化・高齢社会の進行,疾患構造の変化(慢性疾患へのシフト,生活習慣病の増加)による医療費増大に対して医療構造改革が進められてきており,その大きな柱として生活習慣病対策(予防の重視)と,入院から在宅までの切れ目のない医療の提供(医療機能の分化・連携)が掲げられている.そして,これらを達成していくために地域リハビリテーション体制の整備や医療機能連携のツールとしての地域連携クリティカルパス導入が行われてきている(表1)1).
また,最近の国庫財政の逼迫化を受けて,2006年4月には診療報酬のマイナス改定が行われた.同時に,リハビリテーション診療制度にも大幅な変更があり,従来の総合リハビリテーション体系(理学療法,作業療法,言語聴覚療法)から縦割りの疾患別リハビリテーション体系(脳血管疾患等リハビリテーション,運動器リハビリテーション,呼吸器リハビリテーション,心大血管疾患リハビリテーション)への移行が行われ,特定条件下では1日当たりのリハビリテーション施行単位量の増加〔6単位(2時間)/日から9単位(3時間)/日へ〕が認められた一方で,リハビリテーション算定可能な日数が制限(除外規定あり)された.医療保険でのリハビリテーション診療は急性期から回復期までとされ,その後は介護保険を主体とした維持期リハビリテーション(通所リハビリテーション,訪問リハビリテーション,入所リハビリテーション等)へとの流れが鮮明になった.しかし,その維持期リハビリテーションの供給体制が十分に整備されておらず,「リハビリテーション難民」が大きな社会問題となり,署名活動などが繰り広げられた.これを受け,2007年4月に異例の診療報酬見直しが行われ,リハビリテーション医学管理料の新設により医療保険での維持期リハビリテーションが担保された反面,疾患別リハビリテーション料への逓減性が導入された.
このように目まぐるしい制度の変化が続いており,今後の地域リハビリテーション整備や地域連携体制の流れも不透明な部分も多く,これからの医療・福祉政策の動向に留意していく必要がある.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.