7 広域支援センターにおける地域リハビリテーション 広島県

はじめに

　2023年9月18日，総務省は65歳以上の高齢者の人口推計を公表した 1）．2023年9月13日時点の高齢者は3,623万人，総人口に占める割合は29.1％で過去最高を更新した．80歳以上は1,259万人で，「10人に1人は80歳以上」となった．厚生労働省の推計では，2070年には，総人口に占める65歳以上の割合は38.7％となる見込みである 2）．世界的にも高齢化は進行しつつあり，今後，人類として，大きな課題となってくることは明らかであると思われる．

日本は，2000年に，きたるべき超高齢社会に向けて，「介護保険」という社会制度を創設した．その理念は，「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり，入浴，排せつ，食事等の介護，機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について，これらの者が尊厳を保持し，その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう，必要な保険医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」ことであるとされている 3）．また，同省は「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう，住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される」仕組みとして，「地域包括ケアシステム」を2003年から推進している 4）．今回，広島県における「地域包括ケアシステム」を支える「地域リハビリテーション」の取り組みについて述べる．また，「地域リハビリテーション」を支える「地域リハビリテーション支援事業」（広島版）についても触れていきたい．