Japanese
English
特集 メタボリックシンドローム
治療―食事療法;低栄養の食事療法から過栄養の食事療法に
Diet therapy for metabolic syndrome in over-nutritional era.
宮崎 滋
1
Shigeru Miyazaki
1
1東京逓信病院内科
1Tokyo Teishin Hospital
キーワード:
過栄養
,
内臓脂肪蓄積
,
ライフスタイル
Keyword:
過栄養
,
内臓脂肪蓄積
,
ライフスタイル
pp.655-659
発行日 2007年7月10日
Published Date 2007/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100993
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生活習慣の変化と肥満の増加
われわれを取り巻く環境,生活習慣の変化は著しいものがある.第二次世界大戦前は人力作業が主であったのに対し,現在は機械化・電化・自動化の時代を経て,電子化,コンピュータ化,IT化と進んでおり,職場においては身体を動かさない労働,家庭においても快適な生活労働が指先一つで行えるようになった.食事についても,糖質,それもイモ類などを主とした食事から,動物性脂質,蛋白質の多い高エネルギー食に変わった.食料に困窮することはほとんどなく,もちろん栄養失調などなく,食物を容易かつ豊富に入手し,食べることができるようになった.
われわれは,低栄養,栄養失調と活動性の高い生活から,過栄養(過食)と活動性低下(運動不足)があたりまえの生活に変わってきて,体格もやせから肥満に変わってきた.このような生活習慣の変化は疾病構造に大きな変化をもたらした.低栄養の時代には感染症,消化器疾患が死因の上位を占めていたが,過栄養の時代となると癌,心血管疾患,脳血管疾患がとって代わった.すなわち,過栄養,活動性低下が肥満をもたらし,その結果,動脈硬化性疾患など循環器病を増加させた.20世紀末から今世紀にかけ,肥満が健康にとって重大な問題としてクローズアップされてきた.
この体重の増加,肥満者の増加は,多くの疾患の発症率を上げ,死亡率まで高めることとなった.
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