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関節リウマチ(RA)は慢性進行性の全身炎症性疾患であり,多発関節炎による関節の腫脹,疼痛,こわばり等が持続し,また関節の破壊性病変・関節変形の進展と共に高率の肢体不自由を来す.患者の直面する経済的・精神的負担,社会的困難も計り知れない.従来RAの疾患管理の指標としては,握力,関節点数,朝のこわばり持続時間,Classなどの臨床症状,リウマチ因子,Hb値,赤沈値などの検査所見が利用されてきたが,これらと患者の日常的身体機能やQOLとは時に乖離している.こうした背景のもと,1980年代より欧米を中心としてRA患者のQOL評価法が開発され治療評価にも利用されるに至った.現在,AIMS/HAQの一部によるADL/QOL評価はアメリカリウマチ学会のRAの疾患活動性評価のためのコアセット項目の一つに取り入れられている1).
RAのQOL評価
疾患特異的QOL評価法は,一般的/総合的評価法に比して疾患特性が高く,より高感度/効率的に健康度/QOLの障害を測定する目的で開発され利用されてきた.その大きな特色としては,痛み・疼痛,身体機能障害・肢体不自由,またこれらに起因する経済・社会・精神的困苦の評価尺度を有している点である.治療の効果・副作用に特異的な項目,疲労感や長期予後に関する不安など慢性疾患特有の項目も設けられている.現在利用可能なQOL評価法は種々あるが,一般的QOL評価法としてはSF-36が,疾患特異的な評価法としてはAIMS/HAQがよく用いられている2).また最近,英国・オランダで開発されたRaQOL(the Rheumatoid Arthritis Quality of Life Questionnaire)は,主として欧州各国で利用されて始めている.いずれの評価法でも疼痛がQOLの総合評価に大きな影響を及ぼすことが知られている.
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