リフト

　人が人を持ち上げる移乗介助はたとえ二人がかりでもあってはならないことである．本人にとっても，介助者にとっても危険が大きすぎ，安心できることではない．暖かく，心のこもった介護ならリフトを使って相互の安全を図るべきである．最近のリフトは多くが介護保険該当である．

　リフトには各種あるが，わが国に固有のリフトとして，ベッド固定型と浴室設置型がある．わが国の住環境と生活習慣を考慮して開発されたものである．

ベッド固定型はベッドの重量を利用して安定を維持したり，フレームに固定したりするタイプである．床走行式のように本体の収納を考える必要もなく，車輪で移動しないので畳や絨毯の上でも使いにくいということはない．ベッド周辺でしか使えないという移動範囲には制限があるが，床走行式よりは使いやすく，価格も同程度であることから，最近ではベッドサイドではこのタイプを使うことが多いと言えよう．ハンガーが垂直昇降する巻き上げタイプと，床走行式と同様に円弧軌跡を描くものとがある．吊り上げたときの安定性，着座時の位置の調整など一長一短であり，状況に応じて使い分ける．