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はじめに
エルゴメータは運動負荷,または持久力の改善を目的として用いられることが多く1),脳卒中などの中枢神経疾患患者の運動機能回復を目的としては開発されていない2).近年,仰臥位や片脚での運動が可能で,ペダルのアシスト機能も持った多機能のエルゴメータが開発された.このエルゴメータ(ストレングスエルゴ240,三菱電機エンジニアリング社製,以下「S-Ergo」)はシートバックと駆動軸の調節機能に加え,サーボモータをコンピュータ制御し,等尺性運動や等運動性運動での運動やペダリングのアシスト機能も備えている1,3).
一方,エルゴメータ運動が両脚の伸筋と屈筋による交互性運動であること,下肢の伸筋が主として推進力を産み出していること,さらに回転運動のペースも歩行と類似していることから4),歩行訓練としての意義が注目されている.Davidら5),藤原ら6)は,脳卒中患者に対してエルゴメータを用いて訓練を行い,主動筋と拮抗筋の病的な同時収縮が改善し,正常に近い相反的な筋活動が得られたと報告している.今後,上述のような多機能のエルゴメータが,脳卒中などの歩行障害をもつ患者に用いられることにより,従来のようなフィットネスの改善だけでなく,急性期から歩行を目的とした訓練の一手段となる可能性が期待される.
しかし,エルゴメータは起立型のものが主で,運動・筋電図学的解析も,そのほとんどが起立型のエルゴメータを用いて行われてきたものである.したがって,上述したエルゴメータを使用した場合の駆動姿勢の変化が,その運動時の筋活動に与える影響を調べた報告は非常に少なく,歩行時の筋活動と比較検討した報告も限られている.
そこで今回われわれは,従来の起立型と,半臥位や仰臥位,その他の駆動姿勢の違いによるエルゴメータ運動時筋活動の相違を検討し,歩行時の筋活動と比較検討したので報告する.
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