Japanese
English
研究と報告
頸髄損傷患者における夜間低酸素血症および睡眠時無呼吸症候群に関する検討
Nocturnal hypoxia in patients with cervical cord injury.
鈴木 幹次郎
1
,
高橋 秀寿
1
,
阿部 玲音
1
,
小宗 陽子
1
,
木村 彰男
2
,
千野 直一
3
Kanjiro Suzuki
1
,
Hidetoshi Takahashi
1
,
Reon Abe
1
,
Yoko Komune
1
,
Akiko Kimura
2
,
Naoichi Chino
3
1国立療養所村山病院リハビリテーション科
2慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
3慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, National Murayama Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Keio University Tsukigase Rehabilitation Center
3Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
脊髄損傷
,
睡眠時無呼吸症候群
,
nasal CPAP
Keyword:
脊髄損傷
,
睡眠時無呼吸症候群
,
nasal CPAP
pp.461-466
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100581
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はじめに
頸髄損傷患者では,急性期および慢性期において呼吸・循環器系の合併症が生じ,この管理法が生命的予後を左右する場合が多い.特に,高位頸髄損傷では,急性期に人工呼吸器管理や気管切開を行う場合が多く,また,慢性期の患者でも,呼吸補助筋の麻痺による拘束性肺換気障害のため,痰喀出困難,呼吸困難,夜間低換気などが問題となる.
これまで,脊髄損傷にはさまざまな呼吸器合併症におけるリスクファクターが報告されている1)が,そのなかで,近年,睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome;SAS),および夜間低酸素血症を合併した症例が注目されている2-4).
今回,われわれは,頸髄損傷患者がリハビリテーションを行ううえでの阻害因子の一つと考えられる夜間低酸素血症に関して,その実態を調べるために,持続酸素飽和度モニタを用いて夜間睡眠中の経皮的酸素飽和度を測定し,次に簡易睡眠時無呼吸診断装置を用いて睡眠時無呼吸について,いびきなどの症状や肥満など各因子との比較・検討を行った.さらに,新しい治療法であるnasal CPAP(continuous positive airway pressure:鼻マスク式持続陽圧換気)を頸髄損傷患者にも応用し,その有効性が示唆されたので報告する.
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