巻頭言
患者・障害者の立場での社会的支援を
鶴見 隆正
1
1神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科
pp.423
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100844
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昨年の診療報酬改定や障害者自立支援法の実施については国民からもマスメディアからも注目されている.それだけに今,リハビリテーション界が真に患者・家族や障害者の立場に立っているのか,が問われているのではないだろうか.
4疾患別の医療保険適用期間の上限日数制限や療養病床の再編などにより,「理学・作業療法などのリハビリテーション医療をもっと受けたい」,「次からは介護保険による老人保健施設,通所リハビリで頑張るように言われたが,納得できない」,「はじめて大病を患ったのに,どうして日数制限をするのか」などの患者・家族からの声を耳にするたびに複雑な思いにとらわれる.一方,専門職側からは,「大まかな疾患別の診療報酬規定に妥当性があるのか」,「療法別の独自算定の廃止や代替者の導入は専門性を否定する診療報酬である」,「施設基準が変化しすぎる」などさまざまな意見があり,見直しを要求している.各団体の立場から問題点を指摘し改善に向けた努力は不可欠であるが,ややもすれば当事者本位に陥りやすい.むしろ患者・家族や障害者の立場に立って,専門家や各団体が彼らの疑問や意見を代弁し,後押しするために,新聞,TV報道などのマスメディアを積極的に活用して,social actionを惹起するような社会的支援が必要だと考える.
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