巻頭言
精神障害者の立場から
菅 修
1
1国立秩父学園
pp.826-827
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201662
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先年久しぶりで東京都立松沢病院を訪れた。そして,昔,あの有名な葦原将軍の名前をとって「将軍池」とよばれている池のほとりで,患者諸氏と一緒に,お汁粉のご馳走になった。
その時,かれこれ30年位前に,わたくしが松沢病院につとめていた当時の人が,7〜8人よってきた。そしておたがいに久濶をのべあった。当然のことながら,皆相当に老けてしまって,昔の元気さはどこにも見られなかった。かつてはひと際目立った美貌の持主であったある令夫人も,さすがに頭もすっかり白髪になり,容色も衰え,わずかにその整った顔立ちに昔の面影をしのぶものがあった。それらの人たちと一緒に,記念の写真をとったが,その夫人だけは,身繕いをしていないのを恥じてか,仲間に入ってくれなかった。
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