特集 障害者自立支援法をめぐって
それぞれの立場から
精神障害者社会復帰施設の立場から
新保 祐元
1,2
1全国精神障害者社会復帰施設協会
2東京成徳大学福祉心理学科
キーワード:
全人間的復権
,
障害者間格差の是正
,
障害者施策の統合化
,
機会の均等化
Keyword:
全人間的復権
,
障害者間格差の是正
,
障害者施策の統合化
,
機会の均等化
pp.749-751
発行日 2006年8月10日
Published Date 2006/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100355
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はじめに
今日のリハビリテーション理念は,生活上の困難や,活動および参加に関する制約・制限をもつ障害者の社会関係を改善するために,共生の思想や価値が,すべての人々に共有される社会の構築を目指すものであり,まさにノーマライゼイション理念を実体化するための「全人間的復権」を眼目としている.
このことからすれば,精神障害者も当然のように個の尊厳が図られ,全人間的復権に係わる機会の均等化が担保されなければならないと言えよう.しかしながら,わが国の精神障害者が置かれた環境は,その環境を規定する制度・施策においてさえ,他の障害者と区分され,劣悪な環境下に甘んじることを余儀なくされてきた.
このように精神障害者が置かれてきた社会的環境は,ノーマライゼイション理念や社会的リハビリテーション理念にほど遠く,障害者間でさえ差別を感じるほどであった.したがって,こうした環境の改善を図るターゲットの一つとして制度・施策の改善を図り,障害者間格差の是正を求めることは,利用者ニーズに応える施設運営者として当然のことである.
筆者が障害者自立支援法に賛意を表してきたのはこうした理由によるものであり,3障害統合の施策実現こそがノーマライゼイション理念にそぐうものと言えるからである.
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