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はじめに
地域リハビリテーションは,地域で生活している障害者のために,生活の場において行われるリハビリテーションのことである.施設でのリハビリテーションが,身体機能や動作能力の改善を主な目的として行われる「治療モデル」のリハビリテーションであるのに対して,地域リハビリテーションは,生活の最適化を目的として,日常生活,社会参加に主眼をおいて行われる「生活モデル」のリハビリテーションと言うことができる.
障害者・高齢者の地域支援には,リハビリテーションとケアの両面からの対応が必要とされている.このうちリハビリテーションは,「自らの人生を変革していくための手段を提供することを目指し,時間を限定したプロセスである」(国際障害者世界行動計画,1982)と定義されている.ケアの定義は一定していないが,「医療・看護的ケアと,介護(日常生活・家事・外出などの介助)とが含まれる」と理解され,継続的に続けられるものと認識されている1,2).これらのすべてを広範に捉えて地域リハビリテーションと呼ぶ向きもあるが3),地域リハビリテーションを前掲のリハビリテーションの定義に従って「目標と期間を設定して行うリハビリテーション技術サービス」として,ケア活動と区別する考え方もある4).いずれにしても,障害者・高齢者の在宅生活支援にはリハビリテーションとケアの両方が必要なことにかわりはないが,両者の業務上の性格にはかなりの差異があるので,これらを一律に取り扱うことは適切でなく,それぞれの特性を生かした運用が必要になっている.
地域リハビリテーションはまた,保健・福祉・医療・介護機関などさまざまな機関で行われているが,そのサービス体系やサービス種目は一定しているわけではなく,施設ごとに特徴のあるサービスが行われている.筆者らは平成8年来,身体障害者療護施設(以下,療護施設)を拠点として,地域の福祉・介護機関との連携の下に,リハビリテーション技術による地域リハビリテーション活動を行っている.小文では,療護施設からの地域リハビリテーションの経験を述べ,読者のご批判に供したい.
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