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はじめに
国家施策として在宅ケアが入所ケアよりも推奨されている現在,デイケアは重要な社会資源の一つである.デイケアに通所する意義は,ADL(日常生活活動)の維持・向上にある.特にその効果が在宅において現れることが重要であろう.
しかし,デイケアがADLの維持・向上に役立っているかどうかは,十分に検討されていない.これまで発表されてきたデイケアに関連するADL報告はいずれもデイケア中のものであり1,2),通所中のADLと在宅時のADLとを同時比較した論文はみあたらない.そこでわれわれは,通所中のADLと在宅時のADLの同時比較を計画した.
通所・在宅の両者でADLを評価する場合,誰が評価者となるかにより,使用できる評価表が限定される.在宅でのADLは,実際に介助している主介護者に尋ねることで一番多くの情報量を得られることから,今回は質問紙によるアンケートを利用することとした.既存のADL質問紙法のうち,信頼性・妥当性が検証されているものとしては,FIM(Functional Independence Measure)3)に基づいた大田らの質問紙法4)があげられる.
大田らの検討4)では,FIM質問紙を用いて入院・外来患者を対象に採点方法の妥当性と検者間(専門職と家族あるいは看護師)の信頼性が報告されているものの,認知項目の信頼性が低いことから,さらなる信頼性の検討が必要と考えられる.そこで,われわれは,デイケア通所中のADLを大田らによるFIM質問紙法4)(以下,FIM質問紙と略)と通常の定義によるFIMの両者で採点することでまずFIM質問紙4)の妥当性を検証し,その後に,FIM質問紙4)を用いて通所中のADLと在宅時のADLの同時比較を行うこととした.
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