Japanese
English
特集 老人痴呆とリハビリテーション
痴呆老人のデイケア
Day-Care for the Senile Dementia.
矢内 伸夫
1
Nobuo Yauchi
1
1南小倉病院
1Minami Kokura Hospital, Fukuoka.
キーワード:
痴呆老人
,
デイケア
Keyword:
痴呆老人
,
デイケア
pp.277-282
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105361
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はじめに
急速な長寿化現象は,老人特有の疾患,障害への関心を高め,そのキュアとケア,あるいは,医療と福祉の接点を求め,深刻な社会的課題にまで発展してきた昨今である.
なかでも,いわゆる呆け老人対策は,少なからずも社会危機の様相を呈しつつある.それと言うのも,わが身,わが家族を呆け老人に,また,その介護する立場になぞらえるほど身近な問題であり,何十年の苦節と栄光を飾るエピローグに陰さす姿を目のあたりにしながら,さて,その介護ともなれば,家族ばかりでなく,施設,病院のいずれもが,それぞれの限界を越えた対応に苦慮するからであろう.
ことに最近は,老人医療とリハビリテーションの用語が一対になるほど,老人リハの関心は高まっているが,ただ,これを手離しで喜べないジレンマを臨床家は皆体験しているのではないだろうか.いわゆる従来型のリハ概念では対処できないことばかり提起されるところに,その特長があるとさえ言えよう.
たとえば,直面するプラトーの壁,痴呆をはじめ,リハ阻害因子と言われる悪条件を避けて老人リハは存在しないからである.まして,痴呆老人のほとんどは多発性脳梗塞などの脳血管障害を原疾患としているため,ADL改善に向けての諸訓練もさることながら,高次機能,精神機能への対処が重要となってくる.このように,痴呆老人は,身体的・精神的・社会的状況において,あらゆる障害を包括しており,そのリハこそ,本来的なリハビリテーションの集大成ではないかと思う.あえて,この痴呆老人リハビリテーションへの試行錯誤として,今回,デイケアを実施した動機と現況から,その意義および問題点などについて若干触れてみたい.
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