Japanese
English
講座 神経変性疾患6
変性性痴呆
Degenerative dementia.
下村 辰雄
1
Tatsuo Shimomura
1
1秋田県立リハビリテーション・精神医療センター
1Akita Prefectural Center of Rehabilitation and Psychiatric Medicine
キーワード:
アルツハイマー病
,
痴呆
,
レビー小体を伴う痴呆
,
前頭側頭葉変性症
Keyword:
アルツハイマー病
,
痴呆
,
レビー小体を伴う痴呆
,
前頭側頭葉変性症
pp.543-551
発行日 2003年6月10日
Published Date 2003/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100781
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痴呆とは
痴呆とは,一度発達した知的機能が,脳の器質性障害によって広範に継続的に低下した状態で,特定の疾患名を指すのではなく,種々の疾患により生ずる臨床的状態像である.痴呆を生ずる主な原因疾患として,脳の一次的な変性性疾患であるアルツハイマー病,レビー小体を伴う痴呆,前頭側頭葉変性症,皮質基底核変性症や進行性核上性麻痺など,脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって生ずる血管性痴呆,脳腫瘍,慢性硬膜下血腫,頭部外傷,正常圧水頭症などの脳外科疾患,脳炎,髄膜炎,神経梅毒などの炎症性疾患,慢性アルコール中毒,薬物によるもの,甲状腺機能低下症などの内分泌疾患によるもの,ビタミンB1やビタミンB12欠乏症,肝不全,腎不全などの代謝性疾患によるものがある.
痴呆の鑑別診断
1.アルツハイマー病
1907年にAlois Alzheimerが,51歳頃から記憶力低下・失見当識を進行性に呈した女性の剖検脳に,神経原線維変化が出現することを記載したのがアルツハイマー病の最初の報告である.当初は初老期に発症する初老期痴呆の一つとされていたが,その後,老年期に発症する老人性痴呆でも病理学的にアルツハイマー病と同様の変化を呈することが示され,これらを総称してアルツハイマー病あるいはアルツハイマー型痴呆と呼んでいる.
日本ではアルツハイマー病より血管性痴呆が多いと言われていたが,最近の疫学調査では,アルツハイマー病の患者数は血管性痴呆の患者数とほぼ同数か,ややアルツハイマー病のほうが多いと報告されている.
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