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増大特集 知っておきたいリハビリテーション・テクニック
日常生活動作訓練のテクニック
高次脳機能障害によるADL障害への対応―痴呆
Dementia: Daily Activity Program for Persons with Senile Dementia.
江藤 文夫
1
Fumio Eto
1
1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
1Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital
キーワード:
痴呆
,
アルツハイマー病
,
現実見当識
Keyword:
痴呆
,
アルツハイマー病
,
現実見当識
pp.927-931
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107183
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はじめに
痴呆は症候学的診断であり,その原因となる疾患には可逆性ないし治療可能なものも含まれる,したがってリハビリテーションにおいても正確な診断が重要である1).しかし一次性変性疾患によるアルツハイマー病や老年痴呆(アルツハイマー型)に対してもトリートメントの方法がないわけではない.機能障害の改善は得られないものの特定の日常生活動作や活動に改善が得られたり,介護者への支援により在宅生活を可能にしたり,施設内での生活の質を高めることは可能なはずである.
痴呆のリハビリテーションは多面的・包括的アプローチであり,機能回復訓練の効果には限界があり,方法も確立されていない.しかし,その基本は活動性の維持と改善にあると考えられる.国際アルツハイマー協会(Alzheimer's Disease International)は,アルツハイマー病に代表される痴呆関連疾患のケアと治療の改善を目指して患者とその家族,および学際的な多数医療関連職種により構成され,活発な活動を展開している.その活動のひとつに啓蒙的な出版や出版物の紹介があり,Zgola JMによる著書ではカナダにおけるアルツハイマー病の“Day Away”と呼ばれる日常活動に対するアプローチが述べられている2).本稿ではこのプログラムの紹介を中心として痴呆患者に対するADLアプローチについて考えてみたい.
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