巻頭言
障害児教育と連携の課題
香川 邦生
1
1筑波大学
pp.203
発行日 2004年3月10日
Published Date 2004/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100709
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私は,特殊教育(障害児教育)の世界で40年間仕事を行ってきた.わが国における特殊教育の歴史は,1878年開校の京都の盲唖院まで遡ることができるが,この教育が質・量ともに大きく花開いたのは,20世紀の後半以降なので,特殊教育が大きく進展する歴史の大筋の中に身を投じていたことになる.
20世紀後半以降の歴史は,1948年から学年進行で実施された盲・聾学校教育の義務制に始まり,1979年の養護学校教育の義務制実施を経て現在に至るわけであるが,この間,どんなに重度な障害があっても可能な限り学校教育を提供するというシステムが整備され,障害があるために義務教育を猶予・免除される者の数は減少の一途を辿っている.ちなみに,2002年度における障害が重篤なための就学猶予・免除者は122人に過ぎない.またこの年,わが国において障害児教育の対象となっている幼児児童生徒は20万7,760人で,この幼児児童生徒の教育に,十数万人の教師が従事しているという情況である.一方,教育内容・方法に関しても,50年の歴史のなかで多くの蓄積がなされてきた.障害児教育に関する図書が書店の1コーナーを占めるまでに至っているのは周知のことであろう.
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