特集 連携教育
連携教育の実践と課題
大嶋 伸雄
1
Oshima Nobuo
1
1首都大学東京大学院人間健康科学研究科
pp.1033-1041
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101539
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連携教育の本質とは何か
1.“Inter-professional”による連携を理解する
保健・医療・福祉の分野において「連携」という用語が頻繁に使われるようになったのは,いつの頃からであろうか.以前は,医師を他の医療職の円の中心に配置し,理学療法士や作業療法士,看護師などすべての専門職を医師の周囲を回る衛星のごとく見立てて,“para-medical”と呼んでいたが,その考え方は「患者不在」であると世間から批判を受けた.そこで,「患者中心の医療」,「チーム医療の中心は患者」とするイメージを前面に打ち出すため,次は医師が医療職の輪の中に収まって中心位置に患者を据え,医師以外の専門職は“co-medical”と呼ばれるようになった(患者中心の医療を推進するための専門職相関図).つまり従来の“medical”とはあくまでも医師だけであった.しかし,医師はそういった医療職全体や組織を管理するための教育を受けているのだろうか.
保健医療福祉専門職連携,つまりinter-professionalの実践には「専門職のチーム」が必要であるが,チームにはチーム内のすべての専門職を理解しているリーダーもしくはマネージャーが必要となる.しかし,わが国においては,医学生をはじめ,保健医療福祉のどの専門職教育においてもそういった「マネジメント教育」は実施されてこなかった.
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