Japanese
English
特集 褥瘡最前線
手術の適応と困難症例
Operative indications and unfavorable results.
稲川 喜一
1
,
森口 隆彦
1
Kiichi Inagawa
1
,
Takahiko Moriguchi
1
1川崎医科大学形成外科学教室
1Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Kawasaki Medical School
キーワード:
褥瘡
,
外科的治療
,
手術適応
,
化膿性股関節炎
Keyword:
褥瘡
,
外科的治療
,
手術適応
,
化膿性股関節炎
pp.541-547
発行日 2004年6月10日
Published Date 2004/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100594
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はじめに
近年,褥瘡に対する保存的治療法は,新しい創傷被覆材の開発やさまざまな体圧分散寝具の普及に伴って飛躍的な進歩を遂げており,保存的治療のみによって軽快する褥瘡も多い.しかし,筋組織を越えて骨にまで達するような深い皮下ポケットを有する症例で,保存的治療が奏効しない病変に対しては外科的治療を考慮する必要がある.また,MRSA感染を伴った褥瘡を有する患者では介護施設への入所が難しいことがあり,そのような場合には褥瘡の早期治癒のために外科的治療が行われる.
外科的治療の目的は創を単に閉鎖することではなく,荷重に耐えて褥瘡が再発しにくい状態を得ることである.手術によって褥瘡を短期間に治癒させることは,患者の全身状態を改善させ,ADL(activities of daily living)を向上させて早期の社会復帰を可能にする.しかし,手術はあくまでも対症療法でしかなく,常に再発の危険があるということを念頭に置いておかなければならない.したがって,外科的治療を検討する際には,再発をきたして再び手術が必要となった場合の対応,すなわち再発時の再建法までを考える必要がある.本稿では褥瘡に対する手術療法の適応と,それが困難な症例について述べる.
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