連載 嚥下障害食
摂食・嚥下障害者のための段階的な食事(1)
大越 ひろ
1
,
手嶋 登志子
2
1日本女子大学家政学部食物学科
2浜松大学健康プロデュース学部
キーワード:
介護食
,
テクスチャー
,
食形態
Keyword:
介護食
,
テクスチャー
,
食形態
pp.994-995
発行日 2006年10月10日
Published Date 2006/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100399
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今回から2回にわたって,「摂食・嚥下障害者のための段階的な食事」について,事例を紹介しながら解説したい.
「介護食」から「段階的な食事」への展開
前回紹介した「介護食」は,特別養護老人ホーム潤生園で開発されたもので,高齢者を対象とした食事であるが,最初雑誌で紹介されたときには,段階的な分類が行われていなかった.そこで,テクスチャーを測定し,硬さと付着性,凝集性から4つのグループに分類した(前号参照).食品の状態(食形態)とテクスチャーから分類し,A~Dの4グループとした.グループAは「流動性があるゾル状」,グループBは「やや軟らかい均質なゼリー状」,グループCは「やや硬いが付着性の少ない,不均質なゲル状」,グループDは「付着性が多く,凝集性がやや低い不均質なゲル状」である.グループA,Bは,嚥下に時間がかかり,食塊形成が困難な人を対象に提供していた.グループC,Dは咀嚼ができにくかったり,噛み合わせが悪い人を対象に提供していた.
ただし,この時点では,「介護食」はまだ「段階的な食事」とは言えないものであった.そこで,食形態とテクスチャーの面から,特別養護老人ホームで実際に提供されている「やわらか食」について,段階的に分類してみることにした.この施設の展開事例は「介護食」をさらに発展させたものである.
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