連載 嚥下障害食
摂食・嚥下障害と食事(総論)
手嶋 登志子
1
1浜松大学健康プロデュース学部
キーワード:
誤嚥
,
食塊
,
QOL
,
食生活
Keyword:
誤嚥
,
食塊
,
QOL
,
食生活
pp.696-697
発行日 2006年7月10日
Published Date 2006/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100344
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医療・福祉・介護の場では,普通に食事を「口から食べられない人」への対応が大きな問題となる.急性期の総合病院で約10%,長期療養施設では20~30%の嚥下困難者がいると言われる1).筆者らが2003年に愛知県下全高齢者施設の管理栄養士・栄養士に行った郵送調査(介護老人保健施設121,介護老人福祉施設146,養護老人ホーム31,計298施設,回収率49.7%)では,“摂食・嚥下障害により栄養上の問題がある”という回答は,介護老人保健施設50.8%,養護老人ホーム71.6%にものぼった.
これまで,嚥下障害があると,誤嚥による窒息や誤嚥性肺炎を起こす危険性が大きいため,経管・経静脈栄養法が行われてきた.低栄養や脱水を起こしやすい高齢者に対して,これらの方法は,介助が簡単で安全であり,栄養管理面での意義は大きい.しかし,口から食べないために,これまで五感を通して得られていた食事からの脳への刺激や食べる楽しみ,人との触れ合いなどが失われるばかりか,浮腫を起こし,苦痛を与えることにもなる.
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