Japanese
English
講座 神経損傷部位と症状・4
視床の症候
Neuropsychological syndromes of the thalamus.
佐藤 正之
1
Masayuki Satoh
1
1三重聖十字病院
1Mie St Cross Hospital
キーワード:
視床性健忘
,
視床性失語
,
視床性痴呆
Keyword:
視床性健忘
,
視床性失語
,
視床性痴呆
pp.963-970
発行日 2006年10月10日
Published Date 2006/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100394
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はじめに
視床は脳出血,脳梗塞の好発部位で,19世紀末には,その損傷によりさまざまな感覚/運動障害をきたすことが報告された.20世紀初めにはDejerineらにより「視床症候群」という語が用いられるようになり,さらに1980年代以降の画像技術の進歩により,視床の障害が原因で高次脳機能障害の生じることが明らかとなった.“視床性健忘”,“視床性失語”,“視床性痴呆”がそれである.しかし,視床の障害が原因とされる失語と痴呆については,発生機序と責任病巣の観点から,独立した症候とはみなしえないとの意見もある.
本稿では,最初に視床の解剖と血管支配を簡単に述べ,視床性健忘,視床性失語,視床性痴呆について解説し,現時点での視床の障害による高次脳機能障害の特徴と問題点について概観する.
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