Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
リハビリテーションの分野では,脳血管疾患,脊髄損傷,関節リウマチ,関節外傷,脳性麻痺など,さまざまな疾患において装具療法が重要である.しかし,装具の適応について,いまだ統一した見解が得られていない現状にある.EBM(evidence-based medicine)や,医療経済の観点から,より効果的な医療が求められており,装具療法についても科学的実証の裏付けが重要である.
装具療法の目的として,
1)病的組織の安静・固定・保護
2)骨・関節の変形・拘縮の予防・矯正
3)失われた機能の代償・補助
などが一般的である.
装具の種類は装着部位によって,
1)上肢装具
2)下肢装具
3)体幹装具
に分けられる.
実際の現場では,下肢装具や体幹装具と比べ,上肢装具の適切な処方は低いように思われる.その理由として,下肢,体幹装具が,直接,日常生活動作の改善や自立を目的とする場合が多いのに対し,上肢装具は拘縮や疼痛の軽減・予防を目的とする場合が多く,また,上肢特有の,巧緻性,把握機能,認知機能と関係し,すべてを満たす装具の作製は困難であることがあげられる.また,片側の障害の場合には,何らかの工夫により日常生活動作が片手で行えることが多い.その結果,利用者はその利点を実感しにくく,使用を拒否する場合が少なくない.そのため,上肢装具の処方の際には,目的と期間を明確にし,十分なオリエンテーションを行い,患者がたとえ一部の制限があってもそれ以上のメリットを納得して使用できれば,上肢装具の有用性を得ることができる.つまり,インフォームドコンセントがとくに重要となる.
本稿では,本学で処方し,効果的であった手関節の段階継手付き装具を中心に,肘関節や手指関節の装具などを紹介する.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.