Japanese
English
特集 老化と廃用―予防と治療
介護予防と廃用症候群モデル
Disability prevention and disuse syndrome.
辻 一郎
1
Ichiro Tsuji
1
1東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野
1Division of Epidemiology, Department of Public Health and Forensic Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine
キーワード:
介護保険制度
,
介護予防
,
廃用症候群
Keyword:
介護保険制度
,
介護予防
,
廃用症候群
pp.649-653
発行日 2006年7月10日
Published Date 2006/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100336
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はじめに
介護保険法の改正を受けて,介護保険制度は2006年度より「予防重視型システム」へと大きく転換する.介護予防とは,要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと,あるいは要介護状態にあってはその悪化をできる限り防ぐことと定義される1).定義自体が2つの概念を包含することに対応して,介護保険制度においても新予防給付と地域支援事業という2つの事業が創設される.
新予防給付は,介護保険で要支援1または要支援2と認定された者を対象に,機能の低下防止と改善を目指している.地域支援事業は,介護保険非該当者を対象に,要支援・要介護の発生防止を目指している.さらに地域支援事業は,要支援・要介護に至るリスクの高い高齢者(高齢者人口の約5%を想定)を対象に生活機能の維持・改善に向けた集中的なサービスを提供する特定高齢者施策と,健常高齢者を対象に介護予防の普及啓発と精神・身体・社会の各相における活性化を目指す一般高齢者施策により構成される.
以上のように,全ての高齢者を対象として,その心身・生活機能レベルに応じて一貫性・連続性のある総合的な介護予防システムが確立される(図1).
この介護予防システムは,「老化と廃用の悪循環を絶つ」ことを最大の戦略目標としている.そこで,廃用症候群というものが注目されるに至った経緯を踏まえたうえで,介護予防における廃用症候群モデルの重要性を指摘し,さらに今般の介護予防システムが廃用症候群に対してどのような戦略を展開しようとしているかについて述べたい.
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