Japanese
English
特集 老化と廃用―予防と治療
知能の加齢変化
Aging and age-related change of intelligence.
安藤 富士子
1
,
福川 康之
2
,
西田 裕紀子
1
Fujiko Ando
1
,
Yasuyuki Fukukawa
2
,
Yukiko Nishita
1
1国立長寿医療センター研究所疫学研究部
2聖徳大学人文学部社会福祉学科
1Department of Epidemiology, National Institute for Longevity Sciences, National Center for Geriatrics & Gerontology
2Department of Welfare, Faculty of Humanities, Seitoku University
キーワード:
知能
,
加齢変化
,
WAIS-R
,
MCI
,
アルツハイマー病
Keyword:
知能
,
加齢変化
,
WAIS-R
,
MCI
,
アルツハイマー病
pp.643-648
発行日 2006年7月10日
Published Date 2006/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100335
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はじめに
老化により身体機能が衰えることはよく知られている.それでは精神機能にも老化はあるのだろうか.
精神機能は身体機能よりもはるかに外因の影響を受けやすい.高齢者では精神機能と社会的機会は強く結びついており,自己や他者への認識,感情,行動は生理的要因や文化・社会的要因によって大きく左右される.また,精神機能の多くの要素は相互に影響するとともに,社会・環境要因とも双方向性に働きあっている.さらに精神機能には,パーソナリティのように生命維持に有害か有益かという方向性をもたない要素や,心理社会的発達段階や叡智のように高齢になるほど発達していくと考えられているものもある.いわゆる「内在性」,「普遍性」,「進行性」,「有害性」という老化の特徴1)は,精神機能にはあてはまりにくい.高齢者の精神機能に関してはむしろ加齢変化とその関連要因を明らかにし,機能低下の予防策を考えることが有用であろう.
本稿では,高齢者の自立に直結する精神機能である「知能」を取り上げ,その加齢変化と関連要因について自験例も含めて解説する.
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