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「廃用」という言葉について
身体の一部または全体を使わずに不活発な状態におくことが種々の機能の低下を招くことはかなり以前から知られていたが,1940年代のアメリカの早期離床・早期歩行(early ambulation)の運動や第二次大戦後の人口の急激な高齢化の中で再認識され,さらに宇宙医学において無重力状態の生理学的悪影響との関連で再び強調されるようになった.リハビリテーション医学において,これが最初から重要な鍵概念(key concept)の一つであったことは言うまでもない.
ところで,このような現象を一括してどう呼ぶかということについては,欧米でも必ずしも一定していない.廃用(disuse)の語は廃用性筋萎縮・骨萎縮については古くから使われていたが,これを「廃用症候群」という総括的な名称として早くから使ったのはHirschberg(1964年)である.しかし,代表的なリハビリテーション医学の教科書類を見ても,身体的不活動(physical inactivity,Rusk 1971,1977年),あるいは単に不活動(inactivity,Downey 1971年;Kottke 1990年),ディコンディショニング(deconditioning,Downey 1971年)または全身ディコンディショニング(general deconditioning,Basmajian 1984年),不動(immobility,DeLisa 1988年,Goodgold 1988年)または不動化(immobilization,Kottke 1982,1990年,Goodgold 1988年)などと,かなりまちまちである.また,これに関連する概念に,低運動性疾患あるいは運動不足病(hypokinetic disease,Kraus and Raab 1961年)というものがあるが,これは拘縮や廃用性筋萎縮などのほかに肥満や冠疾患まで含む,より広義の概念であり,区別して扱う必要がある.
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