Japanese
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研究と報告
ビデオ解析を用いた上肢運動失調検査としての反復ペグ棒移動テストの有用性
Utilizing the repetitive peg-stick moving test with video analysis as an examination of the upper limb ataxia.
佐藤 亙
1
Wataru Sato
1
1群馬大学医学部保健学科
1School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Gunma University
キーワード:
運動失調
,
反復ペグ棒移動テスト
Keyword:
運動失調
,
反復ペグ棒移動テスト
pp.1059-1065
発行日 2005年11月10日
Published Date 2005/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100215
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はじめに
運動失調とは,麻痺や不随意運動がないにもかかわらず生ずる協調運動の障害全般を指す1).代表には,深部感覚性,前庭迷路性,小脳性の3つがあり,小脳性が臨床上もっとも頻度が高いとされる2).
上肢運動失調検査には,既存の指鼻試験のほか,用紙を用いた協調性テスト3),軌跡撮影法4),空間運動3次元記録法5),定量的回内・回外運動テスト6),上肢協調運動の定量的検査7),等速描円運動課題の視標追跡検査8),心電計を応用した手の定量的打点テスト9),視標追跡運動検査10),運動失調機能障害評価票11)など多くの報告がある.
しかし,既存の指鼻試験や回内・回外試験では主観が入るために定量的検査としては十分とは言えず,特殊装置使用の定量化も経済性などから誰もが利用できない.また,簡便な検査法もあるが,重度運動失調例で実施困難な場合がある.
既に本誌で紹介した反復ペグ棒移動テスト(以下,反復テスト)12)は,作業療法で使う既製のペグボードとペグ棒を検査用具としたので,入手が容易で,30秒間の回数を課す簡便な検査のために被験者の負担が少なく,重度運動失調例にも適用が可能である.回数という間隔尺度の使用も統計処理上有益と考えた.
反復テストの開発は量的および質的な検討が必要と言え10),先行(量的)研究では検査の妥当性,信頼性,再現性を報告した13).本研究では,反復テストにビデオ解析を用いて運動失調に有用なパラメータを選択し,その回復過程の追跡から検査の有用性を検討した.
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