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はじめに
脳血管障害患者は転倒しやすく,転倒すると約5%に骨折が生じると言われており1),転倒により発生する骨折や外傷,心理的影響は,リハビリテーションを進めるうえで大きな阻害因子となる.また,医療訴訟が話題となる昨今,リスクマネジメントの観点からも,転倒予防は重要な課題の一つである.
当院は3棟139床の回復期病床をもつ私立のリハビリテーション専門病院であるが,転倒を予防しながらいかに自立度や活動度をあげていくかという課題に日々頭を抱えている.有効な転倒予防対策を立てるには,転倒しやすい患者を予測することが基本となる.
転倒の危険因子としては,これまで一般高齢者を対象として,筋力低下や感覚障害など種々の因子があげられているが2-4),病院での報告,とくに脳血管障害患者を対象として,転倒要因を調査した報告は少ない5).医学中央雑誌において,キーワードを「転倒」と「回復期病院」(会議録除く)で検索したところ,1999~2005年1月の間に5件が抽出されたが,すべて解説や総説であった.過去にわれわれは,回復期病棟へ移行する以前における脳血管障害入院患者の転倒は,Mini Mental State Examination(MMS)の点数が低いものほど転倒することが多いことを報告した6).しかし,現在は回復期病棟をもつ病院が増え,多くの脳血管障害患者のリハビリテーションは,このような病棟でリハビリテーションスタッフと病棟スタッフが一体となって関っており,それゆえ転倒についての状況も以前とは異なると考えられる.
そこで今回は,回復期病棟における脳血管障害患者の転倒リスクを高める要因を明らかにし,回復期リハビリテーションにおける転倒予防対策に役立てる目的で調査を行ったので報告する.
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