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はじめに
2006年の4月から,精神障害者が法定雇用率にカウントされることとなった.これにより,過去,社会的入院やデイケア等の福祉的就労が多かった統合失調症患者の一般雇用への移行や,近年増加している気分障害(うつ病等)を発症する労働者の継続雇用の支援1)への大きな一歩が踏み出されることになる.
このような動向を踏まえつつも,筆者は,精神疾患の職業リハビリテーションについては,従来の「3次予防」としてのリハビリテーションとは根本的に異なる課題があると考えている.つまり,精神疾患を含め慢性疾患においては,一生を入院や在宅での治療に費やすことが人権的にも社会コスト的にも妥当でない.そのため,継続的な疾患管理と職業生活の両立を図ることが社会的課題となり(図),職業リハビリテーションと医療の連携が必要となる.これはまた,うつ病のように,治癒率が高く,職業リハビリテーションというよりはメンタルヘルスの側面が大きい2)場合でも,その再発防止のために重要な観点であろう.
このような医療との密接な連携による職業リハビリテーションはこれまでにない課題であり,障害者職業総合センターでも,2005年度からの特別研究でパイロットプロジェクトを実施し研究する予定である.
そこで,本稿では,精神障害の職業リハビリテーションについて,包括的な就業支援に医療の専門性がどのように関与する必要があるのかについて課題を整理したい.基本的な就労支援の戦略としては,実際の職場での用意周到な環境整備や個別支援を重視した「援助付き雇用」モデルや「合理的配慮」の考え方がある.これに加えて,医療との連携が不可欠な課題として,疾患管理との両立や,事業主や就労支援者にとっての精神障害の理解しにくさの問題がある.
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