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はじめに
本来ケアマネジメント(ケースマネジメントと同義とする)は,治療法でもなく,リハビリテーション技術でもない.複数の領域にまたがって,さまざまなサービスを同時に必要とする人々に対して,サービスを適切に結びつけることによって,生活を支援する方法論であり,後に制度化されるようになったものである.
リハビリテーション内個々のプログラムと並列するべきではなく,パソコンに例えれば,個々のソフトと言うよりもオペレーティングシステム(OS)にあたる.一人ひとりの利用者に必要なものを必要なタイミングで提供することによって,治療,リハビリテーション,生活支援などの目的を達成するための技術である.
リハビリテーションを広義にとらえれば,急性期治療から回復期,能力向上,生活支援までの全過程が含まれることとなり,それぞれの時期に応じたケアマネジメントが必要となる1).狭義のリハビリテーションである能力改善期に特化すれば,目標志向的に本人の能力と環境の力を改善する一連の働きかけがリハビリテーション過程となり,この視点からみるとリハビリテーション型ケアマネジメントと呼ばれる活動と一致する.
歴史的には精神障害や知的障害をもった方々を対象として始まった方法であるが,いまでは生活に困難を来しているあらゆる人々を支援する方法論として応用されている.また,ケアマネジメントには制度としての側面と技術としての側面があり,両者がそろうことで有効性を発揮しやすいが,制度がなくても技術として実践できるものである.昨今のわが国では,高齢者を対象とする介護保険制度に始まり,すべての障害者に対する自立支援法にも導入が見込まれており,教育や司法,労働の領域においても急速に適用が進んでいる.いまや対人サービスを担うすべての人々にとって,ケアマネジメントの実践を避けるわけにはいかなくなっている.
ここでは,精神障害領域の活動を中心に紹介するが,他の領域でも適用できることを強調しながらケアマネジメント実践について論じたい.
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