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はじめに
わが国の高齢化は急速に進展し,高齢化率は19%(2003)に達している.高齢者が,寝たきりや閉じこもり,痴呆などの要介護状態にならないための介護予防事業が2000年より推進され,生きがい活動支援事業もメニューにある1).作業療法士(OT)の職域は年々,保健・福祉・介護保険領域において拡大傾向がみられ,介護予防事業の一端を担うことが期待されている2).それは地域住民の健康増進を目的とした予防事業の展開に,作業療法の特徴である趣味や生きがいの作業活動や,人と人が関わる集団を活用した介入により寄与し得るからである.
従来,作業活動の種目を選択するには,対象者の生活歴や今までの趣味や生きがいが参考にされたり,Matsutsuyu3)の「興味チェックリスト」などが用いられてきた.しかしながら「興味チェックリスト」3)に示されている種目は80にも及び,チェスやシャッフルボード,チェッカーなど,わが国の高齢者にはなじみのない種目も少なくない.また,レジャー白書4)により国民の余暇活動の内容が報告されているが,わが国における介護予防事業の対象となる居宅高齢者の趣味や生きがいの種目などの調査は意外に少ない.
一般の高齢者を対象とした予防事業の展開には,趣味活動の場の拡張と老人会や婦人会などの活用,外出や趣味活動の継続,ソーシャルネットワークの拡充など,社会活動や社会参加の視点5-8)も重要と思われる.しかし,これらと趣味や生きがいとの関連を検討した報告はみられない.
そこで今回,OTが居宅高齢者を対象とした介護予防事業に寄与する意義と課題を明らかにするために,趣味や生きがいに関する地域横断調査データを分析した.
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