Close-up 理学療法に活かすモニター技術
慣性センサを用いるウェアラブル歩行分析システムと臨床応用
三宅 美博
1
,
内富 寛隆
1
Yoshihiro MIYAKE
1
,
Hirotaka UCHITOMI
1
1東京工業大学情報理工学院
キーワード:
歩行分析
,
慣性センサ
,
歩行軌道
,
Walk-Mate
,
Evidence Based PT
Keyword:
歩行分析
,
慣性センサ
,
歩行軌道
,
Walk-Mate
,
Evidence Based PT
pp.887-893
発行日 2021年8月15日
Published Date 2021/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202397
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はじめに
歩行運動に関連する時空間的軌道を推定できる臨床的歩行分析手法に近年関心が集まっている.診断や経過観察は,患者の歩行運動に伴う実際の体動を含めた,身体の流れや形に注目して行われることが多く,Evidence Based Physical Therapy(EBPT)の観点からも,歩行の連続的な時空間的軌道にかかわる客観的な情報が求められているのである.
これを実現するために,モーションキャプチャを用いる高精度な計測方法からキネクトなどを用いる方法まで,画像情報を活用したさまざまな歩行分析システムがこれまで提案されてきた.しかし,これらの方法は専用の計測スペースを必要とする大掛かりなものであり,日常のリハビリテーション治療への導入や所定の時間単位内での利用が難しいなど,多くの課題が残されていた.このような背景のなかで,身体に装着した小型の慣性センサの情報を用いることで,屋内外を問わず高精度かつ簡便な計測を可能とする,ウェアラブルな歩行分析システムへの期待が高まりつつある.
本稿では,われわれがWALK-MATE LAB社と開発を進めている,慣性センサを用いる歩行分析システムWM GAIT CHECKER(ウォークメイトゲイトチェッカ)を取り上げ,そのコア技術となる歩行軌道の高精度推定の方法,そして臨床応用の事例について解説する.
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